はるのいと/佐々宝砂
 
繕っても繕ってもほつれてゆく
こたつぶとんのはじっこの糸のような
きみのことばに耳を傾けている
そとはつめたい雨
ポストに届いたばかりのハガキには
あと三十分で春がきます と
楽観的な文字がならぶ
春がきたら
なめくじのように
光る糸を引いて旅にでよう
こたつぶとんのはじっこの糸を引っ張って
できるだけほつれてしまおう
きみときみのことばをすべて分解しおわるまで
空には雲も煙も浮かばないのだ
さあ出かけよう
ことばを繕うのはやめて
どこまでもことばを垂らして
限りなくみっともなく
歩いてゆこう
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