ハムスターの午後の回転/カンチェルスキス
 
風が吹いたとき 寝たりなさそうな瞳には 光化学スモッグで煙った街が映る
唇をとがらせて 窓に映った自分の横顔を 自分じゃない顔のように ちらり眺めながら
誰かを待ってるようでもあり 拒絶してるようにも見える 怖いんだろうな
机の色あせた空白のノートはそのまま たまに書く手紙も切手が貼られないまま封をしてある
感情だけはやまないから 心にいくつも傷をつくった
カーテンの後ろに隠れている 風が吹いたときだけ 姿を見せる
か細い足元が少しだけうきうきしてる 夢の中で 誰かと
それほど遠くない海へ向かう電車に一緒に乗った 今日の天気予報では穏やかな風が一日続くだろう
目覚めるのも忘れて 満ち足りたような寝顔の姿は きっと この先も かげりゆくこの部屋を 奥のほうから 明るくしてくれる





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