ハムスターの午後の回転/カンチェルスキス
 



カーテンの後ろに隠れている 風が吹いたときだけ 姿を見せる
か細い足元は少しだけピンク色
潮の匂いと、街の喧騒が混じってる
恥ずかしそうに林檎をかじってる なるべく音をたてないように
幼稚園の子供たちの列が通り過ぎる その後は急に静かになって
窓にもたれて立っていたり、足を交差して床に落ちた散光を見つめてたりする
長い長い夜を超えても 元いた場所に戻ってくる 移動はしても 住所は変わらない
風がやんだときは たいてい眠っている 誰かに撫でてもらったみたいに目を細めて
長い睫毛が可憐な花びらみたい 黄色い夢を見て ときどき自分で黒に塗りつぶしたりする
目が覚めるのは 風
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