小さな/umineko
小さな
黒い雲が
広がる空を犯していく
それが
憎しみだったり
うらやみだったり
街は
とりどりの高さと
色だ
俯瞰するとそこは結局
人という生き物が
ひしめいている蟻塚で
抜きん出てあなたがすぐれていると
誰も自分を思えない
それなのに
抜け出してやろうと躍起になる
あるいは投げ出して
夜に沈む
小さな
黒い雲が
眠っている
笑っている
それは確かに自分にある
そこから
目をそらせるために
詩を書いている
生きるために
疑う
声を疑う
文字を疑う
小さな
黒い雲は
薄やみに溶けるように
この
世界全体が
薄やみに溶けるように
自分の
正しさも
愛するという
作業さえも
薄やみに溶けるように
小さな
賢人たちは
恋に落ちない
誤りを犯すから
あなたが
認めてくれればいいのに
そんなことばかり
小さな
日々という連続に
失っていく
もう
ここからは見えないだろう
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