ペンキ職人/天野茂典
のペンキが流れ込んでいるのである
また赤い川が生命を支えている
草原の猿から進化して
二足歩行の生命体は
青いペンキを浴びている
赤いペンキ
扉からあらわれるのはキリンではなかった
赤い顔の人間でもなく
青い顔の人間でもなかった
扉は日に何回もひらかれるが
でてくるものはレプリカだった
てざわりもよく ほんものそっくりだったが
体温がなかった
そこでペンキをまくことにした
血のような真っ赤なペンキ
扉はみるみる 焔のように崩れだした
だから人間は地球のように
青く輝くものに
憧れつづけるのだ
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