「メトール」/菊尾
 

揺るがない緊張があるから
また求めてしまうのだろう


「溶けあい混ざりたい内面」

「梳かしてほしいその指で」

「説き伏せたいのは互いの潔癖」

「解かないでほしいのはこの結束」


蒸発してしまうような間柄が愛しくて壊れそう
交差して惹かれ合ってそれでもすれ違う
あとどれくらいまで傍に居られる?
離れる際は消失してしまおうよ
これ以上思い出は必要ないから


始発直後の線路沿いは透明な朝に包まれる
それぞれの場所へ戻され時間が流れ始める
「次の夜にまた。」と約束をする
不確定な僕らは
毅然とした日常の中、互いを枯渇させていくことで
次へと繋げている

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