脱皮/佐々木妖精
 
分からないからど好きだ」これだけ言うのに少し考え込んだ。
「分からない『 』好きだ」
からとけれどの強さを損なわぬまま、同時に表せる接続詞を探した。気付いた。
どこを向いても寄り道と道草しかできないということに。
私が気になるのはシュレディンガーがなぜ猫を使ったのかということだ。
あの思考実験の中で最も理解できない記号は猫だから。
必然性を探り当てる作業は楽しい。
この昼休みみたいなものだ。
たった30分かそこらの休みがありがたい。
今日は学食であえてAランチかな。
そんなささやかさに溢れた作業。
このまま家に帰れば、もしかしたらマンガでも読めるかもしれない。
そんな可能性まで感じさせる。
分からないは分かるより可能性がある。
いつか、
分かるかもしれないし、
いつまでも、
分からないかもしれない、
可能性、
は往々にして
不安、
を招く。
しかし、これはきっとをどうせに置き換えることで解決できた。
どうせ不安がくるのなら、分からないまま受け入れて勝手にさせよう。
そう決意した時、はじめて
あなたの顔が見えました。
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