脱皮/佐々木妖精
、の入口に従えたのは、その言葉が正しいと思えたからだ。
だから不安と向かい合って椅子に座った。
クッションに針が仕込まれているなどとは思いませんし、仕込まれていても構わない。
この言葉が真逆の意味をもつ。
どうせときっと。
それだけの違いが大きな意味を持つ。
裏切ったのはわたしだ。
どうせときっと。
それだけの違いで振り切れる。
正しいは動く身体だ。
私の身体は受け盗った正しさでできている。
だからこそ雨は冷たく打ちつけ、涙が悲しく伝うのだ。
意志が新しい身体を産むなどということが起こり得るだろうか。
私はいまだに、この身体を脱ぐことができないでいる。
「分か
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