小詩集 朝と夜/嘉村奈緒
それから僕は、冷たい生き物に触れるために
僅かな夜を過ごす
山間の人々は自分達の歌を愛している
その歌を聞きながら一枚の毛布に包まって
パンを小さく千切って食べる
滲む群青に少しずつ泣きながら
彼らの歌を忘れてゆく
群青に死ぬ
*
目に優しくない朝焼けだから
焼けすぎていて ただれた地層がぺしゃんこになった
あれはペリカンの手
白すぎて疎まれた伝説が追い込んだ 有名な雲の比喩
それに続きすぎたトラックから転がる運転手の
なんとも切ない足取りといったら!
*
実直な、あなたから染み出た上澄みを
ただ
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