キッチンの喉元/船田 仰
カフェに立ち込める煙は饒舌
ぼくは相槌だけで喉が渇くのを知る
シンクの隅に陣取るふやけた
米粒の白が
ぜんぶを、もやもやとかくしてしまって
いつもそうやって
あれとこれとを触った気になっている
充電二本になった
夜をわたる橋をゆらす
誰かと手をつないでいる、だけど
引っ張っているほうが笑っているというのは
ずいぶん簡単で
ぼくは喉が渇く
次から次へと描きなぐる自らの小さな絵に
憎悪を抱いては
「きみはなにをしんじてる?」というメール
どうにかして
キッチンから逃げ出したいといつも思っていて
でもそれを
信じてはいないとおもうたびにすべて相槌にな
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