春が寝息をたてて/アハウ
 
そんなふうに
春が眠り 寝息が聞こえて
やすらって いたなら

霞むんだ

高雲の桜色の空に やってきた
風にほんのりと

春の靄は大きな体を
この地にあずけきって
眠っている

風の通り過ぎる
密かな街

気持ちが空をむいて
小さな意志がふつふつと

あの雲のように湧き上がり

この部屋から見上げた 
空は何か眠そうで

瞬きをしている

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