透明船/
石田 圭太
もう、
どこからどこまでが地図だったかなんて
関係なくなって
美しいことをいうよ
きみはきみで
ごらん、
すれ違う人々の両手には、何か
約束のようなものがぶら下がっているね
あいつらはとても優しい
透明な船に乗っていく
ぼくの手にあるのは
出会ってから死ぬまでの、数直線の上に
いくつきみが立っているかということ
もうぼんやりと
薄くなってきていて
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