さくらについてわたしはなにも知らないにひとしい/木屋 亞万
 

かさつく胸を抱えつつ
窓にもあたまを押し当てよう

はるがふゆに固まった
エイチツゥオゥ壊していく
音で溢れかえるきせつ
声がながれだすきせつ
はちは羽根をふるわせ
鳥のさえずる梢ふるえ
さくらのさがす音を
提供しようと響きあう
音色のなかに何ひとつ
みつけることができずに
花びらを散らしていく

幹の奥深いところで
心臓がしめつけられている
さくらの木々のしたを
何もしらないわたし達が
えがおで歩いている
みんな始まりを聞くのに夢中で
さくらの壊れる音をしらない
否さくらが壊れていく事を知らぬ
その音はさくら自身も知らぬのだ

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