いびつな箱/伊那 果
 
駆け込めば乗れたかもしれない電車「危険ですから」我は見送る

この手から生まれた飛行機 美しくなくてもいいけど飛べその翼で

また一歩一歩と近づく頂上は私の目指す場所だったろうか

少年は自分の足の届く限りめいいっぱいにペダルこぎたり

うまく愛表せぬこと 幼少のころの何かのせいにしてみる

すべるように転がるように鍵盤を人の指が打つ 魔法ともいう

頂点に昇りゆくとき 一瞬の真空に入るピアニスト

悩み惑いあふれてハッピーエンドから遠くてもゆくわたしの人生





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