真 鯉/beebee
 


ぶくぶくぶくぶく
ぶくぶくぶくぶく
風呂は大きい。
ぼくは魚になって
夜中の風呂場に泳ぐ、
ぐうたら魚。
体にもんもんができて、
ぼくはいっぱしの鯉だ。
口をパクパク、
パクパクパクパク
パクパクパクパク
湯は豊富だ。
蛇口の下は
泡だって酸素がいっぱいだ。
O2が風船になって
水面から飛び出して行く。
ぼくはぐうたら魚。
縁に頭を乗せて、
白い腹を蛍光灯に
さらせば、
すべすべしたお腹の
思わずへその穴を探らないと、
ぼくはカエルになったような気がする。
ゲエゲエゲエゲ
ゲエゲエゲエゲ
大きく開けた口に
お湯が一杯入る。
眼を白黒させて、
ますます大鯉になる。
手足をいっぱいに伸ばし、
タイルの上をヌルヌル
転がり回り、
湯船へどぶうん。
ぼくは大きな真鯉だ。
楽しいお風呂場の時間、
真夜中の寮。
ぼくは銀行員。
大きなぐうたら魚。
大きなお腹を見せて
夜に泳ぐ、
ぼくは真鯉だ。


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