鳥による定立/餅月兎
（おおい）
鳥たちよ
銀鼠の朝に踊る鳥たちよ
何故そんなに楽しそうなのだ
おれはこんなにも憂鬱であるというのに
この旋回には意味があるんです
あなたには理解できないでしょうけど
つめたい風をはらんで膨張した羽毛が
おれの足元に降りてきた
（おおい）
風に向かい飛ぶ鳥たちよ
まったく進んではいないではないか
何処か風の当たらぬところで
風止みを待てばよいではないか
いえ 鳥は飛ぶもの
そう 鳥は飛ぶもの
飛ばされるものではないんです
あなたにとっては
描かれた絵の中の出来事のようでしょうけど
隊を編み何事か声を掛け合いながら飛んでいるのも
あなたの知らない意味があるのです
では ごきげんよう
名刺代わりの羽毛が
おれの足元に
捨ててしまっても
忘れていただいても結構ですと
ひとひら
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