あのオレンジの色/吉岡ペペロ
夏だった
夜中にはじめておまえが来て
朝まで風呂場でいちゃついていた
ゆぶねでおまえはなんども痙攣して
ねむったように首をうなだれていた
さいごはしょんべんまで飲まされて
固い床でつきまくられていた
薄い光のなかで
帰り支度をするのを見つめながら
冷えてしまった珈琲をからにした
白いカップの底に
茶色い粉が濡れて貼りついていた
おまえを見送ったあと
ゆぶねをながし部屋を片付けた
風呂場のほうで音がした
ゆぶねの底に
オレンジの縞模様ができていた
それを念入りにタワシで磨いた
あのオレンジの色は
あれはなんの跡だったのだろう
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