あのオレンジの色/吉岡ペペロ
 
夏だった

夜中にはじめておまえが来て

朝まで風呂場でいちゃついていた

ゆぶねでおまえはなんども痙攣して

ねむったように首をうなだれていた

さいごはしょんべんまで飲まされて

固い床でつきまくられていた

薄い光のなかで

帰り支度をするのを見つめながら

冷えてしまった珈琲をからにした

白いカップの底に

茶色い粉が濡れて貼りついていた

おまえを見送ったあと

ゆぶねをながし部屋を片付けた

風呂場のほうで音がした

ゆぶねの底に

オレンジの縞模様ができていた

それを念入りにタワシで磨いた

あのオレンジの色は

あれはなんの跡だったのだろう
戻る   Point(1)