夢の中に落とし物をした日/小原あき
 
夢の中に落とし物をした日の朝
猫になっていた
仕方がないので
夫を会社に送り出してから
家事は明日にしようと決め
日向ぼっこをして過ごし
夜になったので眠った
明日はせめて、猿になりたいと思った


夢の中に落とし物をした翌日の朝
雀になっていた
仕方がないので
夫に踏みつぶされないように注意しながら
窓のところへ行き
嘴でガラスを叩いた
夫が気がついて窓を開けると
私は飛んでいった
ため息を吐く夫が
にゃあと鳴いたように聞こえた


夢の中に落とし物をした翌々日の朝
ミミズになっていた
仕方がないので
地面を這っていたら
後れて雀になっていた夫
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