「脈」/菊尾
 
望みなんて誰の口からも聞いたことがない
実在しているのかそんなもん
空からの見えない圧力で今日も頭が重い
靴の汚ればかり目がいくね

コーヒーは気が付けば苦くなっていた
甘いと肩が重くなるからダメなんだ
いつも考えていることは大体一緒
つまらない事だけ残っていくね
詰まるのはこの先血管ぐらい

気にかけてくれているはずなのに
時々突き放されているように思える
「みてもらったほうがいいよ」
心配そうにしているその顔を疑う僕は
きっと人間に値しない

毎日意識飛ばして眠るだけ
カーテン開けてもいつでも暗いんだ
ずっと夜が続くようで怖いから
朝を確かめるまで横にはなれない


効かないよ
何飲んだって
信じてないから
脈がどこだかわからないって何回聞いても皮肉だね


その声もある日聞けなくなってしまう
そんな妄想で中は隙間だらけみたい
頑張れなんてとうに死語
甘えてるだけだって
甘えられる何かがあるあなたはそう口にする
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