三様/木屋 亞万
短歌の中では
私の言葉は少し
窮屈そうだ
緊張しているのか
書き終えた後に
爽快感が無い
満足いかない
温いビールのような
泡のないビールのような
缶の底のビールのような
刺激のなさだ
大将は目から笑う
お前は酒の種類を知らないんだ
ビールばっか飲みやがって
短歌は日本酒みたいなもんさ
ピリッとこねえとダメなんだ
あるいは俳句でも
言葉は窒息してしまって
悪い顔色になる
季語に苦しみ
神経を擦り減らす
規則少なな川柳でも
かかとが擦り切れる
刺身3枚だけのような
割り箸3本セットのような
きび団子3個だけのような
中途半端な寂しさだ
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