覆面/黒川排除 (oldsoup)
縦に長い画布を目前にしてわたしはしばらくの間立ち尽くしていた。白い画布は天井から垂直に吊り下げられていた、わたしはその天井を有する広い部屋の真ん中で、真ん中に吊り下げられている画布の前で、自らの腕をもまた垂直にしていた、画布のように。
美しい関係は立ち尽くしていたしばらくの間、続いていたしばらくの間、立ち尽くしていた。わたしは詩を書こうとしてからしばらくの間立ち尽くしていたのだ。わたしは詩の中に詩を持ち込むことを恥じていた。その恥を隠すために文字ではなく色を用いた。色付きのタイルが無尽と敷き詰められつつある画布はやがて鮮やかになった。
ところが視界に突然意識になかった人物が入り込んだ。わ
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