サークル/鈴木
輩に深く惚れていたこと、彼が異性感情に浮薄な男性であることの三点を把握していただくと、話が見えてきやすいと思われます。ことの始めは昨日、十二月四日、日曜、午前八時、授業とアルバイトでほぼ毎日てんやわんや忙しいはるか先輩がたまさかの休日に、泊まりこんで眠っていた彼氏へ久方ぶりのデートに出てみようと笑いかけた後のやりとりだったようです。「バンドの練習があるから無理」疎ましげな口調にいささか脳血管のひりつきを覚えたはるか先輩は、しかしまだ怒りを感じるまでには到らなかったといいます。が、「何時から」「九時」「もう行かなくちゃじゃん。何時まで」「夜の九時」「嘘、それってお金かかるんじゃないの」「うむ、だから
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