サークル/鈴木
らい許されてもよいでしょう。いや許されるべきなのです。彼女の唇がなめくじよろしく徳利の口に滑ったとき、ああ! 不覚ながら僕の下半身は脳へ血液の集合を募りました。しかし前にならえの号令の行き渡った数秒後に欲動は離散の憂き目に遭ってしまいました。奴の登場によって。がらり店の出入口が開く音に続き、聞き覚えのある滑舌の悪い言葉が耳朶を捉えました。「あ、幹事に西島くん、お邪魔だったかな」彼こそ話のラストピース、文学部二年、鈴木祥平、別称が文学かぶれであります。情報を提示しておきましょう。小説を書く習慣を持ち、記憶会に入った当初、例の五月五日には「たけのこの里は砂糖、小麦粉、全粉乳、カカオマス――」と菓子の原
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