サークル/鈴木
っては真なる事実ではないと判明したのですからね。あの時点で情報を開示してしまったならば、僕は再度ピエロと笑われたことでしょう。ああ、もうごめんですよ、そんなこと。いえ現在だってピエロには違いありませんが、他者から嘲弄失笑されるよりは滑稽を自覚し主体的に笑わせる側でありたいのです。でなければ、こうして時間を頂戴してあなたに物を語り申しあげる意味はないでしょう。もちろん、はるか先輩には言いあぐねた贋物の真実も、やがてはお伝えすることになりますが、時機を見て、先に、彼女が惑溺した妄想の一端を御耳に入れましょう。四本目の二合徳利を転がしながら彼女は言いました「これは小説に違いない。私も君も登場人物で、この
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