体内にガーゼ/石畑由紀子
赤信号を誰も見つめなくなったね みな親指にだまされてるね
液体が揺れて、右往左往している、栓の在り処は知って/いる、け/ど、//
『……言動は意味不明で取り調べは難航〜』 羨望でニュースを聞く
組み敷かれ殺されてもそれは夢 また袖に手をとおす朝は来るのだ
自分のより君の孤独がこたえます 遠吠えの矢尻 闇に溶けゆく
笑みのまま恋の遺体を抱く君とならんで歩く ねえ、空、青いね、
体内にガーゼを一枚置き忘れられたクランケになって 生きる
見えずとも星は怠ることがない 私は、君が、君が好きです
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