「 捜索 」/椎名
 
あなたの上げた腕を見る
あなたの下げた足を見る

そんなところから言葉など
出てきやしないのはわかっているのに

おやすみの前に
お約束の
「愛してるよ」
キッスは軽く小鳥のように

疲れた身体は容赦なく
眠りの世界にひきずりこんでくれるけど
夢の中
探し続けるわたしがいる

いつか歩いたような街
あの角を曲がればたしか
たぶん
あの店の向こうに
そんなかられる想いにせかされて

探し歩く
寝る前見つけ損ねた
ふたりのための言葉

知らない子供が手招きする
ほら
こっち
こっち

光がまぶしくて
よく見えない
そこは
どこ?



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