幸福を飲む/
AKiHiCo
洗面器に溜まった
掬い上げた幸福を
すぐに戻した
指を広げれば
その間から幸福が
とろとろとろ、
相応しくない
相応しくない
そうして、
僕が幸せになる事
決して無くなって
時だけが無機質に
過ぎて消えてゆく
持ち上げた洗面器
重みをこの腕に
伝えて形を変える
その表面に浮かべた
青い月、白い星
輪郭を揺らしながら
夜を照らしている
僕は此処に居る
唇を縁に当てて
幸福を飲み干す
月を星を夜を。
目蓋を閉じていよう
そのまま、僕は
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