雲の向こう側に/渡邊永遠
あなたの目に映ってゆくのは
時の重なりとか
澄みきった空の青さだとか
古くなってゆく物たちだとか
沢山の感情との出会いや
沢山の自然の形だったり
あるいは自分の姿だったり
生まれてから
人は、どれだけのものを
目にしていくのだろう
それは綺麗なものばかりではなく優しいことばかりではなく
歪んだ形のものや
悲しみや怒り
その美しく澄んだ瞳が
曇ることもあるだろう
だけれども
だけれども
振り返れば必ず
優しい空が広がっていることを
どうか忘れずにいてほしい
澄んだ瞳を見つめ続ける
優しい空の色は
あなたが生まれる前から
ずっとずっと
そばにあるから
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