ひとみ はなびら/木立 悟
 


何もないものばかり響いて
ひとつ さくりと
離れゆく手
玩具とともに
しまわれる手


岩の鏡が音を集め
門のかたちに積み上げている
水音の色を見つめる目
かたちのむこうの陽に照らされる


死者を燃す火
切りはらわれた木
無音のまぶしさ
雨のぼる虹
雨のぼる指
無言の道


悲しい応えがひとつだけあり
辿りつくようには辿りつけない
右目の羽が左目に生え
しきりに胸のはざまへ移り
今はわからぬ応えにはばたく


とどこおるもの
ときほぐすもの
隔たりに満ちては隔たりをひろげ
明るくかがやき去るものたちの
小さく小さく唱う声を聴く
















戻る   Point(2)