空密/高島津諦
 
 私という人型の中に何が詰まっているのかわからない

 何もかもを吐き出してすっきりしてしまいたい衝動と
 がらんどうの空虚がもたらす耐え難い寂しさを
 背反して同時に持つ

 もしかしたら詰めるべきでない物が詰まっていて
 そんな物で満たされても充足感は得られず
 かえって器と中身の差異から器の形がはっきりと強調され
 がらんとした感覚を持たされているのかもしれない

 コンクリートの箱に水を満たすだとか
 金の箱に銅を満たすだとか
 そんな不釣合いな状態
 コンクリートにはコンクリートを
 金には金を流し込まなければ外と中は一体化できないのに

 けれど 私がもしも木の箱だったならば
 喩え木材を一杯に詰められたとしても一体化は出来ず
 永遠に充足感を得ることは出来ない
 液体化した木、なんて物があれば別だけれど

 唯一の望みは入れ子
 誰かの箱を私の中に入れるか
 誰かの箱に私が入るか
 それは凄く気持ち良いことではないでしょうか
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