ひとつ まどろみ/木立 悟
 
空白
残る明るさ
うたうふちどり
うたうふちどり


やわらかに突く
音の網の目
傾斜に逆らい
廻るしずく
世界に触れない
はばたきの影
鴉の陽のなか
ひとつ生まれる


枝の空から逃がれゆく雨
はざまに息を吹きこむ火
片手から片手へわたされる血の
重なりすべてが鈴となり
歩むものの背を流れつづけ
朝の原を揺らしている

















戻る   Point(3)