ひとつ まどろみ/
木立 悟
空白
残る明るさ
うたうふちどり
うたうふちどり
やわらかに突く
音の網の目
傾斜に逆らい
廻るしずく
世界に触れない
はばたきの影
鴉の陽のなか
ひとつ生まれる
枝の空から逃がれゆく雨
はざまに息を吹きこむ火
片手から片手へわたされる血の
重なりすべてが鈴となり
歩むものの背を流れつづけ
朝の原を揺らしている
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