怠惰/絶倫号
たとえばそう
スーパーで売られている秋刀魚の
ぎらぎらとした鈍い肌の光に
死の気色悪さを感じる
帰り道の土手に生える雑草の
臭い匂いと、透き通るような緑に
生きている事の生々しさを感じる
家に帰り
いざ夕飯の秋刀魚を焼こうと思い
袋から出しては見るが
突然面倒になり、冷蔵庫に放りこみ
外に夕食を食べに行く
数日経ち
冷蔵庫の秋刀魚を手に取る
大きく見開いた目と
ぎらぎら光る肌には
もう、死の匂いすら消えうせてしまっている
僕はそれを
家の前を流れるドブ川に
放り投げた
戻る 編 削 Point(0)