数えるひと/恋月 ぴの
ひとは指折り数える
その日の訪れを確かなものにしようと
指を折り
心に刻み込む
自らの身体に刻み込む
いつの日か死は必ず訪れることを知っている
それでも
死に往く日まで知ろうとする者はいない
十本の指の隙間から零れ落ちた日々に
幸せの残像を見いだそうと
鏡に映る今日の自分から目を逸らしては
折った指の数だけ天を仰ぐ
数えずにはいられない思いがある
そして
思いの先にあるものが希望の灯火であろうと
そうで無かろうと
明日は訪れる
確かな明日であって欲しいと願う心がある
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