肩にふりかかる/角田寿星
 

黒頭巾ちゃんが寝ているあいだに
内緒で神さまをこわしてしまおうか
慈愛のシャワーがどうしてもやまないなら

谷間のユリ
という名前の薔薇をささげよう
あかいゴマシオを世界にふりかけるように
キレイな農薬が大河を埋めつくす
「なあ もうページめくっていいか?」
「だめだよまだ読んでるんだから」

そしてぼくらは空を見上げた
ぼくらの夥しい血もナミダも
どこにも流れてやしなかった
いいかい 世の中にたいせつなものなんてひとつもないんだ
こわれたおもちゃもこじれた関係も切り裂かれたサキイカも
 決してもとには戻らないんだ
って誰ですかそこで
ウサギの首を嬉々としてもいでるのは

対流とか円環とか
いちいちめんどくさいけど
スルーパスの名手とよばれるのにはやぶさかでない
ほら見えるだろう
冷たい雨がやんだあかね雲のむこう
黄昏に消えゆく巨星たちの強い光が
「やべえ赤信号だ」
「いっちゃえいっちゃえ」
生きるということ

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