重影/こゆり
 
整然と並ぶ
薄暗い部屋で
こんなに人がいるのに
と思う

誰にも会わない夜
誰にも会わない朝
白く濁す冷たい空気が
わたしの存在を確認する

研ぎ澄まされて

幸運かどうか分からないが
わたしのアンテナは
微弱な電波に
よりいっそう反応して

悪癖かどうか分からないが
わたしの電波は
その微弱な電波に
重なろうとする

波形が似ているんだ
始まりから終わりまで

それはまるで
心拍が重なり合うように
不規則なリズム
弱さの中の

誰かと過ごした夜
誰かと迎えた朝
白く濁す冷たい空気が
わたし達の存在を確認する


ずっと、好きです
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