ほろびの香り/いねむり猫
 

命は 日々つむがれ 滅びもまた積み重ねられる
木々の鮮やかな新緑が 去年の緑とは全く別の生き物であるように
命は次々に 人の思惑を超えて 置き換えられていく

日の光が背中を ゆっくり暖めてくれるように
滅びもまた命の中に 親しい熱を持って重ねられ
時を共に刻む

滅びの香りの漂う 陰鬱な廊下を通り抜け
明るい庭へと出る時
命と滅びは 鋭く尖った梢で ともに風にさざめいている 


戻る   Point(2)