さしすせそ、/望月 ゆき
正気を失いながら、それでも
わたしたちは、生まれてしまうのだろう
何度も、何度も、
そしてほんとうは
一度だって、死んだことはなかったのだと
臨終のそのときに、知るのだろう
*
そこに海が横たわっていたから、
などという陳腐な理由で身を投じたことを
決して笑わないで欲しい むしろ
美しい弧を描いたそのあと、
クロールで泳ぎだすことの方が、とてつもなく
滑稽で、おろかなことなのだから
*
夜がきたから寝ます、という号令がかかって
わたしたちは夜という不安定な時間を避ける
草の先端で羽
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