トンネル/青木龍一郎
 
テレビを観てたら目から血が出た。
注ぎすぎてコップから溢れる水のように急に赤が流れた。

赤いカーテンは太陽を遮断していて
部屋は黒と、青白いわずかな光で溢れている。

僕が手元のティッシュで目の血を拭き取りながら、ふと横を見ると
君がテレビに向かって大笑いしていた。




テレビは既に電源が落ちているというのに。




僕の大事なものは全部、君の笑い声にかき消されてしまった。
僕は立ち上がり、血まみれのティッシュを丸めて君に投げつけた。
笑うな!と怒鳴った。


君は目を見開いて、驚いた様子で僕の顔を見上げた。
僕も静かな部屋に響いた自分の声に驚
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