一羽の鶯の命日とも呼べる或る冬の日/朽木 裕
上品なうぐいす色をした、ふわふわの翼
雪降る前の寒々しい日、
びうびう風は吹き荒れて、
いつもにぎわう公園には誰一人いない
空を仰げば揺れる電線、
どんどん雲は流れ流れて、
しん、冷えたコンクリートには
上品なうぐいす色をした、ふわふわの翼
静かに静かに目を瞑る一羽の鶯
一瞬、動くことが出来なくて
私は鶯の前に呆然とただ立ち尽くした
死
その一言が緩やかに喉元に降りてくる
強風に背中を押されるように
私は彼の前にしゃがみこむ
ハンカチでそぅっと抱き上げる瞬間、
ふ、と触れた確かな確かなぬくもりに
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