まよい ふるえ/木立 悟
 



顔の上の腕を
動かすことができずに
からだを傾けると
丸太のようにころがる


また通りで
言葉を失くした
植物園と 博物館のあいだの
かたつむり


とすとすからたくたくまで
子らは楽しく迷っている
悲しみを悲しみに
そのままを笑む


雨が
雪になろうとしている
光の文字
したたることなくつぶやく


夜の青空
降り来る色
ひとりの周りの
聞こえない唱


およそ
あきらめられているのだった
金色(こんじき)に離れる
波のつらなり


火の大きさをまちがえても
言葉はまだ鳴りつづけている
異なる紙は異
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