たましい/Utakata
ぽにしか過ぎないので
摘み取られても 特に大きな違いはない
先端が摘み取られた魂を
もともとそういう形だったのだと
たいていの人はすぐにそう思ってしまう
ときどき
魂の欠けた部分がどうしても忘れられない人たちが
微かに遠い目をしたままで街を歩いているのが見える
取り返しのつかないことなので
もう謝ることさえもできない
子供たちには
決してそれはおこなわない
いちどだけ あるひとりの子供の魂を摘み取ったとき
ほんの先端だったのに
瞬間 どこかから血が流れたかのように
小さく震えて息を吐いた
そのときの子供の眼を未だに忘れることができない
そのときの子
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