泣かない子供/灯兎
今もまだ だめなんだ ただ会いたいって思ってしまうんだ
ひとり呟いては 同じ迷路へと入って 同じように迷い込む
辿って行ったのは あなたの笑顔によく似た シロツメグサ
一人になったあの夜から 始まったこたえあわせ
手紙のすき間に浮かび上がる 薄紅と黄緑の音符
流れるメロディから 甘い絶望たちが降りてきた
形はないけれども 信じていかれるもの
信じていないけれども そこにあるもの
どちらを大切にすればよかったのだろう
いずれにせよ 何も変わらなかったのかもしれない
でも うしろ向きに歩く道化を 誰が笑えるだろう
うしろを向いて生きるという言葉は トートロジー
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