独立した弧の夢を見る/nakahira
傷だらけの食卓机は、薄いクリーム色をしている。木目の中には家系図が描かれていた。名前は皆黒く塗り潰されていた。父はその上にあぐらをかき、フローリングの床に釣糸を垂れる。
「釣れますか」
「いつの話だ」
語らでも良い事を語り、私は頭を垂れる。更年期を過ぎた母は台所に根を張る。母の腹は、ガジュマルの幹のようにぽってりと膨らんでいく。それを愛しそうに撫でながら、母が24歳の母になる。私は、来週の木曜日迄に30万用意しなければならない事を思い出す。語らなければならない事を、語らでも、母の腹の中で、硫黄の斜方状結晶がが育っていく。 クリーム色の木目が溶けては混ざり、独立した弧の夢を見る。夢の中で、私は独立した弧をなぞり、弧の先端は8つに割れて、緑色の花弁になった。
テーブルに残されたのは、木彫りのサラダボウル
盛り付けられた、ガジュマルの葉っぱ
ビネガー、オイル、食用の
花
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