カラビナ、切っていくんだろ/ピッピ
 
カラビナ、切っていくんだろ
お前の自我が燃えている
こちらの電車が燃えている
スタンダードな鉄柱の
かすれた声は裏側に
山手線の内側で
正しい摂理を殺したら
徐に雨が降っていた

足が泣いているのだった
制限時間を設けられた自己問答のように
その旅は中途半端なのだった
病院でもない場所で
人がひとり死んでいくこと
停滞した微熱は消えず
ただ分散されるだけなのだった

真夜中を感じるには光源の多すぎる世界
宇宙から深夜を見下ろしたなら
ここはホタルイカのように不気味に光っていた
南極の氷は溶けても
ここは始めから深海のような場所だった
誰も溺れることはない
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