縫い針/千波 一也
 


ひとが
つとめて
恥じらえるよう、

糸はほつれに優れています



こころ
こまやかに
誰もが夜を縫いかねて

きらめく星に
焦がれてしまう


かばい合う布として
擦り切れやすさを離れていかず、

思い
思いに
火と水は



すべからく
かよわきことがはじまりです


原罪の果て
どこにも咲かない救いのために
うまれて喜ぶいたみを綴り、

声はつむぎます
途切れ、そのものを



針の
ほそさが
染みわたるよう、

ひとは逆らい棲むのでしょう



澄みゆくやみの
鮮やかさ

もっともきれいなあざむきに











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