「赫い糸」/菊尾
 
子供達が黄色に染めた夕方六時
「ねぇ」って口癖は何回目だろう
ふらふら浮遊する君を見失わないように
小指に通した赤い指輪
メルヘンだって
やっぱり君は笑った
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不意にあなたがくれた赤い指輪
あの日から通したままの小さな指輪
迷子になっても探し出せるように
解けない私達だけの赫い糸
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止めどなく続けたら
持続する二人の息の紡ぎ方を
見つけだしてみせるから
どうかこの先も引き裂かないで
願いが燃え尽きて灰になっても
掻き集めて何度でも、何度でも
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ひとつひとつ瞬く天蓋
泣いているように笑っているように
影絵の森から抜けてきた二人
一色、指に灯して微熱を感じて
揺れて揺られて人になれるから
離れるのはもう、いいね
僕と
私の
話は閉じることを知らないまま
そっと
ずっと

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