双子の町/石瀬琳々
 
太陽がのぼると
鳩がえさをついばみ
教会(イグレシア)の鐘が鳴り響く
レタマ・ブランカの花が
今日も甘い香りを漂わせている
もうひとつの町にも
ここと同じ朝がはじまる


   おはよう


わたしはその町にいる
もう一人のわたしに手紙を書く


   もう泣くのはいいの
   前だけ向いて
   そして笑って


わたしが後ろを向かないと
その町を見ることが出来ない
そっくり同じ石壁と石だたみ
白いレタマ・ブランカの花の下
わたしと同じ顔の少女がほほえむ
日焼けした指がつかのま
差し出される わたしのほうへ


   ねえあいたい
[次のページ]
戻る   Point(10)