双子の町/石瀬琳々
太陽がのぼると
鳩がえさをついばみ
教会(イグレシア)の鐘が鳴り響く
レタマ・ブランカの花が
今日も甘い香りを漂わせている
もうひとつの町にも
ここと同じ朝がはじまる
おはよう
わたしはその町にいる
もう一人のわたしに手紙を書く
もう泣くのはいいの
前だけ向いて
そして笑って
わたしが後ろを向かないと
その町を見ることが出来ない
そっくり同じ石壁と石だたみ
白いレタマ・ブランカの花の下
わたしと同じ顔の少女がほほえむ
日焼けした指がつかのま
差し出される わたしのほうへ
ねえあいたい
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