恋人か、親友か、…/桜 葉一
 
けどね』
あまりにも馬鹿げてる。それにめんどくさくなったから無視してそこから立ち去ろうとしたんだ。
でもそのおっさんは、しつこいことに僕についてくるんだよね。
「おじさん、しつこいですよ。止めてください」
『どちらか選んでくれればそれですむんだよ、君が選ばないから悪いんだろ』
ますます、むかついてきてさ、意地でも答えないことに決めたんだ。

『恋人と親友、どっち?』



『恋人と親友、どっち?』



『恋人と親友、どっち?』



おっさんは僕の家の前までついてきたからさ、とうとう我慢できなくなって僕はこう言ったんだ。
「おっさん!、うざいですよ。いいかげんにしないと警察呼びます!!」
そしたらこうだ。
『なら早く選べって言ってるだろ!わからん奴だな』
なぜか逆切れだ。でもつかれきっていた僕はもう観念した。そして適当に思いついたほうを言った。
「分かりました。選びますよ。……恋人です。恋人を選びます。選んだんだからもう、どっか行ってください!!!」



その日から、そのおっさんが僕の恋人となった。

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