目の前でゆっくりと死んでいくあなたが、トーストにマーガリンを塗る朝の食卓で/Tsu-Yo
 
って走って走りつづけて
いつかの春の河原を越えて
饐えた臭いのする体育館を駆け抜けて
色とりどりの店が並ぶ商店街を突っ切って
走って走って走り続けたい
と願うわたしの足は
ゆっくりと固まってゆき
それでも鈴木は走りつづけて
みるみる小さくなっていく鈴木の
首には太いロープが巻かれていて
救う者と救われる者の関係は
正しく意味を失ってゆき
もう追いつくことのできない鈴木の姿が
テーブルの何処にもないことに気が付いて
目の前で不思議そうな顔をしているあなたの
首のあたりを眺めている


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