目の前でゆっくりと死んでいくあなたが、トーストにマーガリンを塗る朝の食卓で/Tsu-Yo
 
鈴木が首を吊ったという知らせをうけて
テーブルの上を見てみれば
なるほど
胡椒入れの横で
鈴木が首を吊っているから
いたたまれない気持ちになって
伸びきった首を掴んでロープを外してやると
鈴木嬉しそうにキャンキャン吠えて
テーブルの上を走り回って
季節はいつのまにか冬になって
鈴木真っ白な雪の上に
小さな足跡をつけながら走っていく
鈴木の後ろを追って
まだ新しい雪に足をとられながら
走っていくわたしのことなんか
振り返りもしない鈴木の背中が
大きくなって
小さくなって
また大きくなって
追う者と追われる者の関係は
もうすっかり消え果てて
それでも
走って
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